厚生労働省は副業、兼業の普及促進の構え。が、しかし

おはようございます、社労士の有馬です

今回はコラム的な内容となります

働き方改革実行計画を踏まえ、厚生労働省では副業・兼業の普及促進を図っているようですが、今の日本の労働環境において労働者が副業・兼業を行うことの何が問題なのでしょうか

これからの副業・兼業がどうなっていくのかという未来図と共に、社労士が詳しくご説明します

もくじ

 

平成30年7月6日に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が制定されて以来、日本の労働環境はさまざまな変化が求められるようになっています

そのうちの一つの大きなものが副業・兼業に関してのものでしょう

平成30年1月、副業・兼業について、企業や働く方が現行の法令のもとでどういう事項に留意すべきかをまとめたがガイドラインを作成され、モデル就業規則から副業・兼業禁止の項目が消えました

今回はそんな副業・兼業について社労士として4年ほどの経験を持つ私が解説していきたいと思います

ちなみに結論から言う兼業・副業を認めるのはいいけど、今の法律じゃ無理です

副業・兼業の現状

副業・兼業の現状

副業・兼業について認めている会社は日本にどれくらいあるのでしょうか

平成30年1月までモデル就業規則にもその記載があった事から非常に少ないことは予想できると思いますが

平成26年度の中小企業庁の調査によれば副業・兼業を認めている会社は14.7%です

しかも認めているとは言っても推進はしていないという結果に終わっており、この事から分かるように、副業・兼業が可能な会社というのは日本においては副業・兼業は歓迎されていないことが分かります

副業・兼業は法律的に禁止されているのか

 

会社の法律である就業規則で副業・兼業が禁止されているところはほとんどですが、法律ではどうなっているのでしょうか

法律では副業・兼業を禁じる項目はありません

それどころか裁判例で

労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるは、労務提供上の支障となる場合、企業秘密が漏洩する場合、企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、競業により企業の利益を害する場合と考えられる。

<厚生労働省HP 副業・兼業に関するガイドラインより抜粋>

となっているように、副業・兼業を積極的に禁止できないような裁判例が出ています

これから働き方改革で副業・兼業が推進されていくと、ますます従業員の副業・兼業を禁止することは難しくなっていくでしょう

副業・兼業の問題点

副業兼業の問題点

そんな副業・兼業ですが、会社はなぜ禁止にしているでしょうか

会社が副業・兼業を禁止している理由は大きく三つあります

一つは本業がおろそかになってしまうこと

会社としては自社に傾けられるリソースが少なくなる懸念がある副業・兼業など認めたくないわけです

二つ目は情報漏洩の可能性がある

飲み会の席でポロリと会社の愚痴を話してしまったことはないでしょうか

終電間近の電車に乗っていると、赤ら顔のスーツ姿の人が大声で会社の悪口や場合によっては機密っぽいことを話しているのをよく耳にします

これが競合他社で起きてしまうかもしれないことを考えると副業・兼業にはやはりリスクがあるといえるでしょう

三つ目は副業・兼業に関わる就業時間や健康管理の取扱いのルールが分かりにくいということです

自社でせっかく健康管理に気を使っていても、副業や兼業で健康を損なわれてしまえば全く意味がありません

この三つのことから会社としては副業・兼業を禁止としています

結論:今の法律じゃ無理

結論:今の法律じゃ無理

副業・兼業の現状について解説したところで、次は具体的に副業・兼業を認めるとどういうことがおきるのでしょう

上でも解説した会社が懸念する三つの問題がおきるのもそうですが、最も大きな問題は労働基準法が一つの会社で働くことを前提としている法律であるということです

労働基準法が制定されたのは昭和22年です

昭和22年というと1947年ですから、太平洋戦争が終結(1945年9月2日に降伏)してから2年も経っていない時期なんです

もちろん改正も繰り返されてきましたが、まだまだ古い部分は残っています

例えば労働基準法第三十八条では、労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算すると書かれています

となると、A事業所で働いてからB事業所に行った場合、B事業所ではすでにA事業所で働いた労働時間をプラスした状態で働くということになります

例:A事業所で8時間労働。B事業所で4時間労働した場合

この場合、B事業所での4時間労働は法定労働時間を越えているので、B事業所は4時間の労働時間に対して割増賃金を払わなければいけなくなります

 

他にも労災の問題や、健康確保の問題など、まだまだ対応しなければいけないことは山積みといえるでしょう

まとめと結論修正

 

副業・兼業についてかなりディスった記事になりましたが、私は副業・兼業が悪いことだとは思っていません

むしろ、時代が進むにつれて必ず必要になってくると考えています

なぜならITやAIの進化により、人間がやらなければいけない仕事は確実に減っていく傾向にあり、会社が人手を必要としなくなる時代が必ずやってくるからです

その時にいったいどれくらいの労働者が満足に賃金を得られるだけの労働時間を確保できるのでしょうか

また、会社は労働者を雇用できるだけの労働時間を創出することができるでしょうか

コンピューターが出始めのころはとても高価で大企業でも手を出すのが難しいものでした。今でいう『京』(理化学研究所計算科学研究機構が所有するスパコン)が一番ニュアンスが近い存在でしょうか

そんな昔は超高価だったコンピューターが、いまや一家に一台。会社に数百台あるような時代です。

コンピュータが人間からかなりの職業を奪っていったように、IT、AIの進化はさらに人間から労働時間を奪っていくことでしょう

そんな時代に対応するために、今から副業・兼業について考えておく必要があるでしょう

最後に結論を修正します

副業・兼業は今の法律じゃ無理。ただし、近い将来対応する必要は必ず出てくる

今回は以上となります

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです