おはようございます、社労士の有馬です
先日ランサーズより『採用やめよう』というかなりキャッチーな広告の話題がネットニュースなどで取り上げられていました
この少子高齢化社会の人材難の最中にあえて『採用やめよう』とはかなり挑戦的な内容ですが
雇用というのはある程度リスクがあるものですし、『採用をやめよう』という意見も一理あるのかもしれません
そこで今回は『採用をやめたら』どうなるのか、社労士的に少し考えてみたいと思います
とはいえあくまでも私の感じている実感みたいなところにすぎませんので、占いみたいなものだとおもって気楽な気持ちでお読みください
結論からいうと『採用やめよう』はまだまだ難しい
いきなり結論を述べますが『採用をやめよう』は社労士的にはまだまだ難しいと思います
いや別に社労士としての仕事が減るからネガキャンしているということでなく、三つの理由からまだまだ難しいのではないかと考えました
その三つの理由とは以下の通りです
- 契約についての知識と意識
- 雇用と請負の違いの知識
- 現在雇用している社員はどうするのか問題
まず契約についての知識と意識ですが
現状契約書に対する意識と知識が十分な会社というのは少ないと思います。大企業でしっかりとした法務部があり、弁護士などに契約書作成などを一任している会社は別でしょうが
通常中小企業ではかなり前に作った契約書をずっと使っているという会社はまだまだ多いです
また、契約書の読み方も難しく、契約される側、つまりフリーランサー側の知識も意識もまだまだといえるでしょう
次に雇用と請負の違いについての知識ですが
雇用と請負はやっていることは似ていますが、全くの別物です
誤解を恐れず一言で説明すると、時間でお金がもらえるのが雇用で、仕事の完遂によってお金がもらえるのが請負なのですが
請負の場合は仕事の完遂のみが求められるので雇用のように事業主の指揮命令は受けません
それがどういう影響を及ぼすかというと、例えばデザインを発注したが変更を加えたい場合で緊急性を要する場合でも対応してもらえない可能性が出てくるということです(そのデザイナーが親切ならやってくれるかもですが)
従業員を雇用するときと同じようにフリーランサーに仕事をお願いするということは難しいのです
最後に現在雇用している社員はどうするのか問題ですが
『採用をやめよう』というのは仕事を外部に委託しようということで、そうなると会社で行っていた仕事は減ることになります
会計業務を外部に委託した場合、今まで会社で会計をやっていた人達の仕事はなくなるわけです
もちろんそれで他の仕事に移ることができれば問題ないでしょうが、外部委託の一番の目的はコスト削減でしょうから、余剰人員を抱えるのは昨今の経済的事情を鑑みても中々難しいものがあるでしょう
そうなると『解雇』という選択肢が見えてくるわけですが、しかしこのブログでも散々言っているとおり『解雇』というのは非常に厳しい制限がかけられています
このことを考えると『採用をやめて』外部委託を使ってもコスト削減の結果がでるのは何年も先、下手すると何十年も先になるでしょう
なので結論に戻りますが『採用やめよう』はまだまだ難しいといえるでしょうね
まとめ
ネガティブなことを本文で言い続けてきましたが、逆を返すとそれらをクリアすれば雇用のリスクや経費の削減ができるフリーランサーに仕事を委託するのはありだと思います
定年雇用制が崩れつつわるわが国では雇用し教育しても退職してしまうリスクがあるわけで
それなら最初から仕事を外部に委託しておけばそういった心配は少なくなります
今はまだ『採用やめよう』は難しいですが、これから徐々に『採用やめよう』の社会にシフトしていくのは間違いないでしょうね