おはようございます、社労士の有馬です
早速ですが、医療費が高額になった場合、免除や医療費の一部が返ってくる制度があるのはご存知でしょうか
病気や怪我はしないに限りますが、万が一のことがあった場合に備えて高額医療費支給の知識を学んでおきましょう
この記事を書いている私は社労士として4年ほどの経験があります
3割負担とはいえ、大きな病気をしてしまうと、医療費は莫大なものになってしまいます
そんな場合に頼れるのが今回紹介する高額医療費の制度です
家族や自分の身に何かあった際、すぐに対応できるよう、今から知識を身につけておきましょう
※この記事では協会健保(サラリーマンが加入している健康保険)の制度を中心に解説していきます
国民健康保険(自営業者等が加入している健康保険)もほぼ同じ制度ですが、若干の違いがあるので、詳しく知りたい方は市町村の窓口にお問い合わせください
高額医療費制度の解説
健康保険は7割が健康保険、3割が自己負担の制度ですが、重い病気をわずらってしまったり、大きな怪我をしてしまった場合、3割の自己負担でも医療費が高額になってしまう場合があります
そんなときに使えるのが、この高額医療費の制度です
高額医療費制度とは、自己負担額がある一定以上を超えると、一定額を超えることが予想できていて、事前に申請してある場合は、一定額以上を免除
後から申請する場合は一定額以上が返ってくるという制度です
具体的な額は70歳未満の高額医療費と70歳~75歳の高額医療費で解説するのでそちらをご覧ください
なお、高額医療費の対象となっているのは、健康保険対象の医療を受けた場合のみです
健康保険対象外の医療を受けた時に発生する額は対象外です
健康保険対象外の医療とは、例えば個室に入院したりすると発生する差額ベッド代とかです
その他にも先進医療を受けたりすると、健康保険対象外の医療行為が発生する場合があります
詳しくはお医者さんに聞いてみてください。健康保険適用外の医療は高額になるので通常は事前に説明があると思います
高額医療費の基本
さて、ここからいよいよ制度の内容に入っていきます
まず、高額医療費の制度は大きく70歳未満の高額医療と70歳~75歳の高額医療に分かれます
そして、大きな約束事として、同一の月の同一の病院で同一の傷病に支払った金額が対象だということです
すなわち、この制度は、入院が必要な大きな病気を想定しているということですね
しかし、これ以外も高額医療費の対象となる場合もあり、世帯でかかった医療費を合算して計算できる場合もあります
合算する場合は70歳未満の場合は2万1千円を超える金額
70歳以上の場合は全ての自己負担額を合算できます
また、厚生労働大臣が指定した疾病(特定疾患)については自己負担が1万円を超えた場合などの例外もあります
70歳未満の高額医療費申請
制度の解説をしたところで、具体的な額について解説していきます
70歳未満の人が高額医療費を受ける場合は下記の表の金額を超えた金額が対象となってきます
標準報酬月額区分 | 月単位の上限額 | ※2:4回目以降 |
標準報酬月額83万円以上 | 252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1% | 140,100円 |
標準報酬月額53万円~79万円 | 167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1% | 93,000円 |
標準報酬月額28万円~50万円 | 80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1% | 44,400円 |
標準報酬月額26万円以下 | 57,600円 | 44,400円 |
低所得者(住民税非課税) | 35,400円 | 24,600円 |
※1総医療費とは保険適用される診療費用の総額(10割)です。
※2診療を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた(限度額適用認定証を使用し、自己負担限度額を負担した場合も含む)場合には、4ヵ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減されます。
標準報酬月額とは健康保険の保険料を決めるときに使う等級表に書かれている額のことです
例えば23万円のお給料をもらっている人なら、標準報酬月額は22万円になります
都道府県や年度で違いがあるので、申請するときはあらかじめ調べてから申請してください
ちなみに先ほどの23万円の人の標準報酬月額は22万円と書いた話ですが、これは平成30年度の大阪の標準報酬月額表を参照しています
また、上の段落で説明しましたが、70歳未満の人が合算できる世帯で合算できる高額医療費の対象は2万1千円以上(実費負担金額が)の場合です
70歳~75歳までの高額医療費申請
続いて70歳~75歳未満の高額医療の申請について解説します
70歳~75歳未満の高額医療に関しては以下の表以上の額が対象となっています
平成30年8月診療分から
被保険者の所得区分 | 自己負担限度額 | ||
外来 (個人ごと) |
外来・入院 (世帯) |
||
①現役並み所得者 | 現役並み (標準報酬月額83万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方) |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% [多数該当:140,100円] |
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現役並みⅡ (標準報酬月額53万~79万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方) |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% [多数該当:93,000円] |
||
現役並みⅠ (標準報酬月額28万~50万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方) |
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% [多数該当:44,400円] |
||
②一般所得者(①、③以外の方) | 18,000円 (年間上限14.4万円) |
57,600円 [多数該当:44,400円] |
|
③低所得者 | Ⅱ | 8,000円 | 24,600円 |
Ⅲ | 15,000円 |
平成29年8月診療分から
被保険者の所得区分 | 自己負担限度額 | ||
外来 (個人ごと) |
外来・入院 (世帯) |
||
①現役並み所得者 (標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方) |
57,600円 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% [多数該当:44,400円] |
|
②一般所得者 (①および③以外の方) |
14,000円 (年間上限14.4万円) |
57,600円 [多数該当:44,400円] |
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③低所得者 | Ⅱ(※3) | 8,000円 | 24,600円 |
Ⅰ(※4) | 15,000円 |
※3 被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合です。
※4 被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合です。
注)現役並み所得者に該当する場合は、市区町村民税が非課税等であっても現役並み所得者となります。
70歳以上の方は自己負担額を全て合算することができます
まとめ
高額医療費について解説させていただきましたがいかがだったでしょうか
ややこしそうな計算式が出てきますが、おちついて自分の報酬区分を見つけて、一つ一つ計算すれば必ず、できるはずです
自分の報酬区分が分からなかったり、制度が難しいと感じる方は協会健保(国民健康保険の方は市町村)や社労士等に相談しましょう
今回は以上となります
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです