【再雇用】同一労働同一賃金の考え方について社労士が解説します【再就職】

おはようございます、社労士の有馬です

年功序列的な労働環境が主流の同一労働同一賃金という考え方は今まであまり取り上げられていませんでしたが、最近はよく聞くようになってきました

とくに定年後の再雇用の時に聞く言葉で最近最高裁で判決の出た長澤運輸事件の判決は、同一労働同一賃金の働き方の指針となるような判決が下され、当時の私は大いに驚いたものです

年金の受給年齢が上がり、生涯現役という言葉が叫ばれている中、定年後の再雇用は避けて通れぬ問題と言えるでしょう

そんな定年後の再雇用の時に問題にならないように、同一賃金同一労働の考え方について私と一緒に再確認しておきましょう

もくじ

働き方改革に代表されるように日本の労働環境は今、大きく変わろうとしています

特に同一賃金同一労働という今まであまり問題にされなかった部分が取り上げられるようになり、今までの日本の雇用の慣習と違うことから何が問題になっているのかを理解している人はまだまだ少ないのではないかと思います

同一労働同一賃金の考え方が何故今叫ばれているのか

これからの労働環境にどう関わってくるのか、社労士歴4年の私が解説していきたいとおもいます

同一賃金同一労働の考え方とは。なぜ日本では普及していないのか

同一賃金同一労働とはその名の通り、同じ仕事をやっている労働者には同じ賃金を払おうという考え方のことで、ヨーロッパやアメリカを中心に広まっていきました

国際労働機関(ILO)では前文に掲げられており、基本的人権の一つにさえ数えられている考え方ですが、日本ではあまり普及していない考え方です

その証拠に、周りを見ても、同じ仕事をしていてももらっている給料はまちまちかと思われます

それはいったい何故でしょうか

日本が人権を軽視する考え方を持つ国だからでしょうか

もちろん違います

答えは同一賃金同一労働の考え方が、日本の雇用環境に致命的に合ってなかったからです

日本では古来より忠を尽くすという考え方があります

それは一所懸命という言葉であったり、数多く残る歴史書にその思想の端々が見えます

つまり何が言いたいのかというと、日本型のキャリアプランでは、会社や職を転々とすることが設計に入っていないのです

新入社員として入社した会社には、定年までずっと勤めるという考え方が主流だったからです

このことが何故、同一賃金同一労働の考え方に馴染まないかというと

定年までずっと同じ会社に勤めることが前提のライフプランでは、スキルに応じて給料を決めると、労働者が生活できなくなってしまうからです

新入社員として入社して、結婚して、子供ができて、子供が学校に行ってと、ライフイベントが順々に起こっていくでしょうが

これが同一賃金同一労働の考え方の基で支払われる賃金だと、お金が必要なときにスキルが足りないために賃金が低いということが起こってしまうのです

ヨーロッパやアメリカ的な職を転々とできる土壌があればそれはまだ救われようもあると思うのですが、

一つの会社から転職しないことが前提だとどうしようもありません

ゆえに日本では同一賃金同一労働の考え方はなじまなかったというわけです

近年成果型の賃金制度を取り入れる会社が増えていても、上手くいったという話をほとんど聞かないのはこのためなのです

もちろん上手くいく会社もあるでしょうが、成果型の賃金制度が上手くいっている会社はおそらく人の出入りが激しいはずです

それが悪いというわけではなく、成果型の賃金制度、すなわち同一労働同一賃金の考え方は人の出入りがあることが前提とした考え方ですから当たり前なのです

定年後の再雇用のとき、何故同一賃金同一労働の考え方が問題になってくるのか

同一賃金同一労働の考え方と、何故日本で馴染まなかったのかについて解説したところで、本題に入りたいと思います

定年後の再雇用のとき、何故同一賃金同一労働の考え方が問題となってくるのか

すなわち長澤運輸事件の判決の話です

長澤運輸事件とは定年退職した後、有期労働契約を結んだ労働者が、今までと仕事内容が同じなのに賃金で差別されるのは労働契約法20条違反だとして訴えを起こしたもので、結果、精勤手当と同遅延損害金の支払、及び精勤手当を超過手当算定基礎に含めていなかった点について労働契約法20条違反を認定しその支払いを求めたというものです

第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。 <労働契約法第二十条>

なんのこっちゃさっぱりわからないと思うので、ざっくりと説明しますと、労働者側が一部、定年前と同じ待遇を勝ち取ったということです

そしてこのことが何故問題になっているかというと、今までは定年後の再雇用は定年前をほとんど考慮に入れず、新しく雇用契約を結んでいたのが、この判決が出たことで、雇用前の待遇を考慮して再雇用を考えなくてはならなくなったからです

具体的にいうと、年金がもらえるので再雇用のときは給料を安くしている、という会社が多いかと思いますが、それがこれから場合によっては通用しなくなる可能性が出てくるということです

生涯現役社会の同一賃金同一労働

定年後労働者が望めば65歳までは雇用する義務が会社にありますが

少子高齢化が進み、生涯現役社会が叫ばれる中、定年後の雇用延長はさらに伸びていくことが予想されます

場合によっては定年制度そのものがなくなるかもしれません

そんな時、定年後の再雇用はどうすればいいのでしょうか

同じ賃金、同じ待遇で雇い続けなければいけないのでしょうか

・・・・

まず、勘違いしないでほしい部分は、同一賃金同一労働はあくまでも同じ仕事に対して同じ賃金を払わなければならないという考え方ということです

長澤運輸事件でも、定年前と同じ仕事を定年後も行っていたことが問題になっているのであって、同じ人だから同じ賃金、同じ待遇にせよ、ということではないということです

具体的な対策としては、定年後のライフプランをより具体的に定めていく事が考えられるでしょう

慣習的に、定年後も同じポストで同じ仕事に就けるのではなく、具体的にどうするのかを一律に決めて、細かい部分を個別に契約していくような方法になるかと思います

例えば定年後5年間は1年ごとの契約での有期雇用労働者として雇用するというところまでは共通で、あとはその人の持っているスキルによって賃金や労働時間を変えていくという方法が考えられるでしょう

まとめ

スペースがなくてこの場所で説明するのですが、同一労働同一賃金の考え方が今になって声高に主張されるようになったのは、外国人労働者を日本で使いたいという思惑があるからだと思います

外国人労働者は日本独自の雇用慣習なんか知らないわけですから、どうしても外国標準、すなわちILO(国際労働機関)基準に合わせざるをえないわけです

しかし、いくら世間の流れが同一賃金同一労働の考え方に流れているといっても、自分の会社に合わなければ、それは全く意味のないことです

むしろ、労働者の多様性の少ない中小企業は年功序列式の賃金制度のほうが馴染むのではないでしょうか

自分の会社に何が必要か。どのような制度が馴染むのかをしっかり判断した上で、法律や世論に上手く迎合していく必要があるでしょう

働き方改革も施行されますし、人事労務に携わる人にとっては難しい季節になりそうです

それでは今回は以上となります

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです