【休業手当】台風で社員が早退したり休んだ場合に給料の支払いは必要か否か

おはようございます、社労士の有馬です

最近台風のニュースをよく耳にします

今回はそんな台風に関する労務管理の疑問についてお話したいと思います

台風が原因で会社に来られなかったり遅刻してしまった場合、会社は給料を支払う必要があるのでしょうか?

一緒に確認していきましょう

もくじ

 

この記事を書いている私は社労士として勤務・開業合わせて4年ほど

労務管理をしているとイレギュラーな件は頻繁に登場します

災害時の対応もそのひとつではないでしょうか

今回の疑問は台風で社員が早退したり休んだ場合に給料の支払いは必要か否かを詳しく解説していきます

3分ほどで読める記事ですが、結論だけ知りたい方は一番下の『実務上の台風で早退したり休んだりした場合に会社が取るべき対応』の段落だけお読みください

休業手当についてまず確認

休業手当についてまず確認

労務管理に携わっている人なら台風で休業ときいて、おそらくこの『休業手当』という単語が頭に浮かんできたことでしょう

その休業手当についてまずは一緒に確認していきましょう

休業手当とは使用者の責めに帰すべき事由で従業員に休業させた場合に、1日の平均賃金の100分の60にあたる金額を支払わなければならないというものです

使用者の責めに帰すべき事由というのは範囲が広すぎるので、ここでは使用者の責めに帰さない事由、すなわち不可抗力の事由について解説します

不可抗力の事由については二つありまして、このようになっています

  1. その原因が事業の外部より発生した事故であること
  2. 事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

 

具体例を挙げるとこんなことです

  1. 天変地異などの不可抗力による休業
  2. 労働安全衛生法の規定による健康診断の結果に基づいた休業
  3. ロックアウト(締め出し)による休業
  4. 別事業所の自組合によるストライキのための休業

 

ちなみに仕事がないからとか、内定者の自宅待機の場合は休業手当を支払う必要があります

台風で欠勤と台風で早退では給料についての考え方が違ってくる

台風で欠勤と台風で早退では給料についての考え方が違ってくる

さて、ここから本題です

台風で従業員が欠勤した場合と早退した場合の二種類をみていきましょう

欠勤について

まず欠勤についてです

考えられるパターンとしては3種類でしょうか

  1. 台風で事業所そのものが営業できなかった場合
  2. 台風で従業員が出勤できなかった場合
  3. 台風の様子を見るよう待機命令を出していたが、状況が改善せず欠勤になった場合

 

まず台風で事業所そのものが営業できなかった場合ですが

この場合は上の段落で上げた不可抗力にあたるので休業手当の支払いの必要はありません

次に事業所は営業していても従業員が台風で出勤できなかった場合

この場合はノーワークノーペイの原則に基づいて休業手当の支払いを行う必要はありません。通常の欠勤と同じ扱いです

最後に会社は待機を命じていたが、状況が改善せず欠勤を命じた場合です

実際にはこのパターンが一番多いのではないでしょうか

この場合は会社から待機命令が出ているので、労働時間と同じ扱いになるので給料の全額を支払わなければいけない……と思いきや、実は労働時間にはあたらないので給料の全額は支払う必要ありません。

過去の判例で『大道工業事件』というものがあるのですが、内容をざっくり説明すると

従業員が、要請があれば現場に行き修理を行い、その他のときは寮でテレビを見るなりして待機していて、その従業員が待機時間も労働時間で給料が支払われるべきだとして争いを起こした事件です

詳しく知りたい方はリンクを張りましたのでそちらから内容を確認してください

結果を言うと、この争いは労働時間にあたらないという判決が出ています

このように、台風で様子を見るために待機命令を出しても労働時間とはなりません

ただし、絶対に自宅から離れる無いこととか、出勤できるようになったらすぐに出勤することなど、拘束性が強ければ労働時間に当てはまることがあります

少しわき道にそれましたが

会社は待機を命じていたが、状況が改善せず欠勤を命じた場合は

最終的に欠勤を命じているので、会社は休業手当を払う必要があります

労務を提供できる状態だが、会社が休業を命じたという考え方ですね

まとめると以下の通りです

  1. 台風で事業所そのものが営業できなかった場合 ---> 休業手当の支払いは不要
  2. 台風で従業員が出勤できなかった場合 --->休業手当の支払いは不要
  3. 台風の様子を見るよう待機命令を出していたが、状況が改善せず欠勤になった場合 ---> 休業手当の支払いが必要

 

早退について

 

次は会社に出勤していたけど台風で電車が止まることが予想されたり、ひどい天気になったりして早退した場合です

早退の場合状況として考えられるのは2種類でしょうか

  1. 従業員が帰らせてほしいと言ってきた場合
  2. 会社から従業員に帰るよう指示した場合

 

まず一つ目の従業員が帰らせてほしいといってきた場合

この場合は休業手当の支払いの必要はありません

ノーワークノーペイの原則により、通常の早退と同じ扱いです

次に会社から従業員に変えるように指示した場合

この場合は会社指示の休業なので休業手当の支払いの必要があります

まとめると以下の通りです

  1. 従業員が帰らせてほしいと言ってきた場合 ---> 休業手当の支払いは不要
  2. 会社から従業員に帰るよう指示した場合 ---> 休業手当の支払いが必要

 

実務上。台風で早退したり休んだりした場合に会社が取るべき対応

実務上。台風で早退したり休んだりした場合に会社が取るべき対応

ここまでは法律上の話

ここからは実務上の話です

実務的に台風で従業員が出勤できなかったり早退を申し出てきた場合はどうするべきでしょうか

法律どおり手当てを支払わなかったり支払ったりすればいいのでしょうか

まず労働基準法は最低限の条件を定義した法律だということを頭においておく必要があるでしょう

最低限の条件ですから、法律で決められた条件を上回っても全くかまわないわけです

次に台風で出勤できなかったり早退してしまうのは従業員にとっては不可抗力であるという点に配慮すべきでしょう

従業員は会社のためを思って天気の悪い中リスクを負って出勤してくれているのに、早退するんだったら給料は払わないよ、では冷たく思われてしまいます。これからの仕事のモチベーションにも影響してくるでしょう

なので災害で早退したり欠勤した場合に会社が休業手当を支払う必要が無いことを従業員にきちんと説明した上で、会社が取るべき方法は二つあるかと思います

一つは休業手当を支払う方法

もう一つは事後申請の有給休暇の取得を認める方法です

どちらを選択してもいいですが、有給休暇の事後取得を認める場合は注意が必要で、有給休暇はその性質上事前に申出るものですから、事後取得を認めるときはきちんと就業規則にその旨を記載しておきましょう

まとめ

 

労働者は会社に労務を提供する義務がありますが、会社は従業員の安全に配慮する義務があります

台風のときに社員を無理やり会社に出勤させて災害に巻き込まれるようなことはあってはならないことです

災害時は従業員としっかりコミニケーションをとり、一人一人の状況に配慮することが必要でしょう

今回は以上となります

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです