おはようございます、社労士の有馬です
4月に新入社員が入ってくる会社は多いと思いますが、早く一人前になるためにはやはり自主的な勉強は欠かせないでしょう。私の知っている人には10年以上勤めていても勉強を欠かさない人もいますが
しかし、自主的な勉強ならまだしも上司や先輩の命令として家でも勉強しろと命令するのはマズいかもしれません
一体何故それがマズいのか、今回はそんな新入社員が入る前のコンプライアンスの話をしていきたいと思います
業務時間と私用時間の境界線
業務時間と私用時間の境界線は給予が発生するか否かと言い換えることができるでしょう
では給与が発生する条件とはいったいなんなのでしょうか
給与=賃金のことですが、賃金は労働基準法では以下のように定義されています
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
労働基準法第11条
働いた報酬として賃金を払うという内容ですが
しかし、この法律を読んだ時疑問に思った人もいるかと思います
そうです。同じ給料をもらっている人でも仕事内容が全く違う場合がありますよね?
もしくは同じ仕事を7時間で終わらせた場合と8時間で終わらせた場合は賃金がちがいますよね?
そうなんです
労働基準法では労働の対償となっていますが、実際は労働した時間に対して支払われています
労働の対象という評価が安定しない項目では賃金の変動が生じてしまうので、実際は時間で判定するということですね
その証拠に過労死ラインを決定するときは業務内容ではなく労働時間で線引きがされています
残業時間の上限もそうです
労働基準法に出てくる労働者の場合、労働=労働時間と言い換えてもほぼ間違いはないでしょう
本題。家で勉強してこいは労働時間に入るのか
さて、賃金の発生条件についてお話したところで本題のタイトルについてです
家で勉強をするという行為が果たして労働時間に入るかどうかということですが
この問題については持ち帰り残業の判例が参考になるでしょう
持ち帰り残業で賃金が発生するか否かは『使用者の指揮命令下におかれているかどうか』と言い換えることが出来ます
では今回のタイトルの『家で勉強して来い』という命令があった場合はどうでしょうか
この場合は全ての時間では無いにせよ、勉強をしてこいという命令があった場合は新入社員が勉強をした時間が使用者の指揮命令があったとみなされて労働時間とみなされる可能性が高いでしょう
逆にそういった命令がなかった場合で新入社員が自主的に勉強を行った場合は労働時間とはみなされないでしょう
まとめ
新入社員に早く一人前になってほしいというのはどの会社でも同じかと思います
しかし、指示や命令一つでコンプライアンス違反が発生し、後々会社に大きな損失が出るということは知っておく必要があります
セクハラ・パワハラに対する意識が最近高まっており、労働者の権利意識も向上しています
新入社員を指導する場合は一度このあたりの知識は学習しておいたほうがいいですね
それでは今回は以上となります
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです