おはようございます、社労士の有馬です
ここ最近体操協会のパワハラ問題をワイドショーでよくみかけますが、こういった問題が報道されるようになったのはつい最近のことのように思います
このことはすなわち世間のパワハラへの認知と意識が高まっている証拠だといえるでしょう
さて、その意識の高まりと関係あるかどうかは分かりませんが、厚生労働省の委託事業として開設されている「あかるい職場応援団」から『パワーハラスメント対策導入マニュアル(第3版)』が公開されました
今回はその中から特に重要だと思われる点についてピックアップ、解説していきたいと思います
もくじ
- パワハラ対策の意義
- パワハラ対策の構築手順
- パワハラがもし起きてしまったら。事実確認と再発防止
ハラスメントへの問題意識は徐々に浸透してきて、特に経営者層の意識は高いように感じます。上司から部下へと行われるハラスメントについても理解が進んでいるように感じます
しかし、従業員が従業員に対して行うハラスメント。先輩から後輩へ。あるいは同期が同期に行うハラスメントに関してはほとんど認知されていないようにも感じます
ハラスメントは被害者の人生だけでなく、加害者の人生も狂わせてしまいます
また、日常的にハラスメントが発生している会社では生産性が上がるはずもありません
そういったハラスメントへとの対策。今回はパワハラの対策に重点をおいて、社労士として4年ほどの経験のある私が解説していきたいと思います
※『パワーハラスメント対策導入マニュアル(第3版)』が見られるHPへのリンクを貼っておきますので、興味のある方は是非ご覧ください
パワーハラスメント対策導入マニュアル(第3版) ← 外部ページへと飛びます
また、過去の記事で、どういった行為がパワハラになるのかを解説した記事がありますので、是非そちらもあわせてご覧ください
パワハラの定義。具体例について社労士が解説します
平成28年6月に有名洋菓子店勤務の元社員が自殺した件に対して、平成30年6月22日に、元社員が自殺した原因は長時間労働と上司のパワハラによるものと認定されましたパワハラはメンタルだけでなく命を奪ってしまう危険なものです。そして恐ろしいことに、それらはえてして知らず知らずのうちに行われています
会社に求められるパワハラの定義、具体例について一緒に確認していきましょう
パワハラ対策の意義
パワハラ対策に入る前に、何故パワハラ対策をしなければいけないのかを確認しておきましょう
パワハラは職場環境を悪化させますし、当事者でない従業員のモラールの低下を招きます
パワハラの結果、自殺者やメンタルを病んでしまった従業員がでてしまうと、会社は社会的な責任を問われ、場合によってはその従業員に補償をする必要がでてくるでしょう
さらに、会社だけでなく、パワハラを行った加害者の人生にも多大な影響を与えます
パワハラによって被害者が訴え、加害者個人に損害賠償命令が下る場合があるからです。否、お金だけの問題で済めばいいですが(よくないですが)、仮に加害者が正しいと思ってそのパワハラを行っていればどうでしょうか
実際事例を見ていると、仕事熱心なあまりその行動に至ったのだろうなと思われるパワハラの事例はよく見かけます
その熱心さが、裁判所という公的機関で否定されたらどうでしょうか
おそらく今までの仕事人生そのものが否定されたように感じるのではないでしょうか
このように、パワハラが起きることは百害あって一利なしといえます
パワハラを起こさせない社内環境づくりはいまや会社にとって急務だといえるでしょう
パワハラのデメリット
- 会社の生産性の低下。従業員のモラールの低下
- 実害が出た場合の責任。金銭的、社会的制裁を受ける可能性がある
- 被害者のみならず、加害者のその後の人生にも悪影響がある
パワハラ対策の構築手順
パワハラ対策は二つの方向から行っていきます
すなわちパワハラへの意識と知識です
この段落ではパワハラへの意識と知識の二つの項目について解説していきます
パワハラへの意識
パワハラへの意識は従業員側から自然発生することはまずありません
まずはトップが会社のパワハラに対して強い問題意識を持っていることを示す必要があるでしょう
その上で、アンケートの実施やポスターや社内報等で周知していく必要があります
パワハラはテレビや他の会社に存在している遠い問題ではなく、実は身近に潜んでいる問題で、自分たちは当事者なのだという意識を持ってもらうことが重要です
パワハラへの知識
パワハラへの意識を高めていくと同時に、パワハラへの知識を身につける必要があるでしょう
そしてパワハラの知識は管理監督者だけではなく、全ての従業員が見につけるべきものだといえます
この記事の最初でも前の段落でも触れましたが、パワハラは上司から部下へと行われるものの他に、従業員同士で行われるものもあります
そして従業員同士で行われるパワハラは、意外にパワハラと認知されていない部分があります
正しいパワハラに対する知識を身につけるために定期的に教育機会を設ける必要があるでしょう
パワハラに関するセミナーに参加して、その内容を会社で共有したり、講師を呼んでみっちりと講義を受けてもいいかもしれません
社労士がいればその人に任せてもいいかもしれませんね(露骨な宣伝)
とまあ、冗談はさておき、とにかくパワハラの怖い点は、知らず知らずのうちに行われていて、表面化している頃には手遅れということが多いということです
パワハラを予防するためには正しい知識が欠かせません
パワハラがもし起きてしまったら。事実確認と再発防止
最後にパワハラが実際に起きてしまった場合とその後の対応を考えていきましょう
パワハラが発覚するケースは色々あると思いますが、今回は相談者から実際にパワハラに遭ったと相談されたケースについて考えます
パワハラに遭ったと相談された場合
パワハラがあったと相談された場合はまずは事実確認を行います
当事者と行為者に中立の立場で話を聞きます。その際、報復などは厳禁であることをしっかり伝えましょう
そして、第三者に聞き取りに基づいた事実の確認と同じようなパワハラが部署内で起きていないかを調査するのですが
この際、聞き取りをする人数は最低限に抑えましょう
問題が外部に漏れるとそれがきっかけで二次災害が発生する場合があります
聞き取りをした内容はパワハラが起きているのか判断する材料と考えましょう
繰り返しになりますが、中立の立場でパワハラが本当に存在したのかを判断することが重要です
相談者や行為者のどちらか一方に肩入れしないように注意しましょう
パワハラが起こった後の対応
パワハラが起こった後は相談者と行為者へのフォローアップを行いましょう
会社がどのような調査を行い、どういう判断をしたのかを説明し、二方に理解を得るようにしましょう
相談者に問題があった場合はその事を伝え、行為者には同じ事を繰り返さないように指導する必要があります
また、行為が極めて悪質な場合は懲罰も検討します
懲罰に関しては就業規則にその旨が記載されている必要がありますので、パワハラ防止を進めていく段階で作成しておきましょう
上の段落に載せた『パワーハラスメント対策導入マニュアル(第3版)』にも例が載っていますのでそちらも参考にしてください
リンクをもう一度貼っておきます → パワーハラスメント対策導入マニュアル(第3版)(外部サイトに飛びます)
また社労士に頼んでやってもらうのもいいでしょう
有馬社労士事務所でも就業規則の改定は受け付けています
届出と手続き | 顧問契約内 |
就業規則の作成 | 10万円 |
就業規則の改定 | 5万円 |
まとめ
昨今の日本を取り巻く労働環境では日増しにパワハラに対する意識が高まってきています
しかし、一方でパワハラに対する正しい知識を身につけている方は少ないように感じます
とくに、従業員同士でもパワハラが起こり得ることをきちんと認識している人は少ないように感じます
上司から部下へという立場を背景にしたパワハラのイメージが強いですが、同期や先輩後輩の間柄でもパワハラは起こり得るということを知っておきましょう
少し長めの記事になりましたが、最近特に大事なことではないかと思うので、記事を書かせていただきました
繰り返しになりますが、パワハラに大切なのは予防です
そして予防に大切なのはパワハラへの意識と知識
パワハラは百害あって一利もありません
パワハラが起きてしまわないように(または起こしてしまわないように)日ごろの予防をしっかりしておきましょう
今回は以上となります
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです