少し小難しい話。懲戒処分の三つの原則【就業規則】

おはようございます、社労士の有馬です

就業規則を作成する上で一番頭を悩ませるのは懲戒処分の部分でしょう

法律による制限がありますし、何より多様な状況があり一律の対応が取れないのが悩ましいところです

そんな懲戒処分ですが、基本原則と言えるべきものが三つあります

少し小難しい話ですが、この三つの原則に当てはまっているかどうかというのは重要な部分ですので是非この記事で確認してみてください

懲戒処分三つの原則

懲戒処分を定めるには三つの基本原則を満たしている必要があります

その三つの基本原則は以下のようなものです

  1. 明確性の原則
  2. 不遡及の原則
  3. 相当性の原則

あまり聞きなれない言葉でしょうが、どれも重要な基本原則なので一つ一つ確認していきましょう

明確性の原則

明確性の原則というのは就業規則に懲戒の内容と事由が規定されていないといけないということです

要はどんな事をしたらどんな罰則があるのかを就業規則に書いておかなければいけないということですね

例えば遅刻三回で始末書を提出させる場合にはそのことを就業規則に書いておかなければなりません

もしその事が就業規則に規定されていない場合始末書を提出させると職権濫用とされ、逆に訴えられてしまう可能性があります

この事は『規則の定めるところに従い制裁として懲戒処分を行うことが出来る』と判例でも示されていることから、最も重要な部分であるといえるでしょう

不遡及の原則

次に不遡及の原則とは懲戒の内容と事由が規定される以前に起こったことついて、新たに規定を作成した後で懲戒を行うことができないという意味です

例を挙げると、遅刻3回で始末書という懲戒処分が無くて、今回新たに作成した場合、作成前に遅刻を3回している人に始末書を書かせることは出来ないということですね

ちなみに不遡及の原則はたとえ従業員がその処分を受けることに同意している場合でも、処分を受けさせることはできませんので注意が必要です

相当性の原則

最後は相当性の原則です

この原則は懲戒の内容がその事由に見合ったものでないといけないという意味です

例を挙げると遅刻3回でクビというのはやりすぎ、ということですね。もし遅刻3回でクビなんてやってしまった場合には職権濫用となり無効と解されることでしょう

じゃあ、どうやって相当性を決めればいいんだということになりますが、やはり最近の判例と他社でどれくらいの罰則が規定されているかということになると思います

もちろん、遅刻を厳しくとがめる為に世間一般よりも少し重い罰則を定めるくらいは許容されると思いますが、このあたりのさじ加減は難しいですね

ちなみに給与に関わる罰則は重く見られるという点は押さえておくべきでしょう

まとめ

ここまでの内容をまとめると以下のようになります

  1. 明確性の原則:就業規則にキチンと規定しておくこと
  2. 不遡及の原則:規定する前の懲戒内容に関しては処分できない
  3. 相当性の原則:事由に見合った懲戒内容とすること

就業規則は法律のように強制力があるものですが、だからこそ職権濫用にならないように厳しく見られる傾向があります

現在は未払い賃金やセクハラ・パワハラなど大きな問題が取り上げられていますが、徐々に小さな問題へと視点が移ってくるであろうことは想像に難くありません

そんな場合にトラブルにならないように問題になりそうな部分は今のうちに見直しておきたいですね

それでは今回は以上となります

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです