転勤や人事異動は要注意。トラブルになる前に対策を

おはようございます、社労士の有馬です

3月に入って急に暖かくなりましたね。4月になる頃には上着が要らないくらい暖かくなっていることでしょう

ようやく寒さから開放されると思うと今から春が待ち遠しいですね

さて、そんな4月ですが、会社的には新入社員を迎える季節であると同時に転勤や人事異動の季節でもあります

しかし転勤や人事異動はトラブルになるケースも多く、中には裁判にまで発展するケースもあります

そうなる前に事前に対策しておくのが労務管理担当者の責務といえましょう

今回はそんな転勤と人事異動に関するトラブル防止策についてお話していきたいと思います

働き方改革も始まることですし、こういった基本事項は押さえておきたいですね

転勤・人事異動に関する法律

転勤と人事異動。特に転勤は労使トラブルの原因トップ3には必ず入っていることでしょう

そんな転勤と人事異動ですが、実は法律で決められていることはほとんどありません

決められていることといえば、国籍・身上・社会的身分での差別を禁止する労働基準法3条や、性別での差別を禁止する男女雇用機会均等法第6条などですが、それ以外のほとんどの事項は会社に任されています

つまり人事異動に関しては就業規則で決めることになります

ですが、トラブルになりやすい事項の割には人事異動に関してキチンと定めている会社はあまり多くありません

その理由の一つとして挙げられるのはモデル就業規則をそのまま採用している会社が多いということです

モデル就業規則とは厚生労働省が作成した就業規則なのですが、厚生労働省が作成しているだけあって法律違反はなく、作成義務の生じる10人以上の事業所ではよく採用されています

ですが、どの業種にも使える就業規則として作られているだけあって、実はかなりシンプル…というかモデル就業規則は素体としてこれを用いながら付け足していくのが前提みたいなところがあるので、労働トラブル防止という観点から見ると不十分な点が多いのです

ちなみにモデル就業規則では人事異動についてこのように記載されています

(人事異動)
第8条
会社は、業務上必要がある場合に、労働者に対して就業する場所及び従事する
業務の変更を命ずることがある。
2 会社は、業務上必要がある場合に、労働者を在籍のまま関係会社へ出向させることがある。
3 前2項の場合、労働者は正当な理由なくこれを拒むことはできない。

一見十分のように見えますが、労働トラブル防止の観点からはもう少しキチンと定義しておきたいところです

ではいったい何が不十分なのだというのでしょうか

一つ一つ確認していきましょう

1:人事異動の応諾義務について

一つ目は人事異動の応諾義務についてです

モデル就業規則では人事異動に関して労働者は正当な理由無くこれを拒むことができないとなっています

しかし、労働者は法律に違反しない限りは会社指揮命令に従う義務があります

もちろん、後から詳しく説明しますが、転勤に関して拒否が認められる場合もあります

ですが、まず大前提として、労働者が転勤命令に関しては拒むことができない点を明確にしておくべきでしょう

就業規則は法律に次ぐ効力を持つことから誤解が生まれないようにしておく必要があります

2:人事異動の定義について

次に人事異動が何を指すのかという点です

人事異動は転勤だけでなく部署の異動を指す場合もあります。また役職の任免も人事異動と言えるでしょう

そのため、労働者にどのような人事異動を命令するのかを明確にするため、人事異動について定義しておく必要があります

人事異動の種類に関しては会社ごとに違うと思うので、自社に合った制度を設計すると良いかと思います

3:転勤についての配慮について

会社が出した転勤命令が認められなかった事例はいくつかあります

その原因はいくつかありますが、判例(裁判の結果)を見るに三つの点が重要視されているといわれています

  1. 業務上の必要性の有無
  2. 不当な動機・目的をもってなされたか否か
  3. 通常甘受しがたい著しい不利益を与えるか否か

以上三点です

一つ目、二つ目に関しては法律や常識の範囲内かと思いますので割愛しますが

三つ目の点に関しては転勤命令を出した労働者に配慮することによって緩和される傾向があります

つまり、労働トラブルに発展しても、通常甘受しがたい不利益を、会社の配慮で軽減し、転勤命令が適法に行われていると判断される可能性が高いという意味です

その配慮がどのようなものなのかに関してはケースバイケースで一概には言えませんが、判例を参考にするならば、転勤先の保育所の確保や社宅の入居許可、妻への就職先のあっせんなどが挙げられます

この点は非常に重要化と思いますので必ず就業規則に規定しておくべきでしょう

まとめると以下のようになります

モデル就業規則に付け足すべきこと

  1. 人事異動の応諾義務の明確化(従業員は拒否できない)
  2. 人事異動の種類、定義について
  3. 人事異動で発生する不利益に関して配慮、軽減するよう務めること(重要!)

まとめ

最初のほうにも書きましたが人事異動は労働トラブルの大きな原因の一つです

ですが事前の準備である程度対策できる部分でもあるので、忘れずにやっておきたいですね

不利益に対する配慮や軽減措置を行った場合は文書にして残しておかなければならないことは言うまでもありません

働き方改革がはじまるとよりコンプライアンスについて厳しく見られることが予想されます

特に最初のほうはより厳しく見られる可能性が高いので特に注意しておきたいですね

それでは今回は以上となります

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです