労災と健康保険の違いを解説。間違えないように注意しましょう【業務災害】

おはようございます、社労士の有馬です

早速ですが健康保険と労災保険の違いはご存知でしょうか

どちらも病気や怪我に対しての保険ですが、何故二種類に分けられているのでしょう

知っているようで知らない健康保険と労災保険の違いについて解説します

もくじ

この記事を書いている私は社労士として4年ほどの経験があります

労災保険と健康保険の違いは、大まかに言うと仕事上の怪我かそうではないかということですが、実は単純にそうとは言い切れない部分もあります

労災かと思っていたら健康保険の範疇だったり、逆に健康保険の範疇かと思っていたら労災の範疇だったということがけっこうあります

労務管理担当者なら知っておきたいこの知識

今回の記事をきっかけに改めて確かなものにしておきましょう

労災保険と健康保険の違い

まずは労災保険と健康保険について確認していきましょう

労災保険は業務上の怪我や病気と通勤途中の怪我や病気が対象の保険です

業務上の怪我や病気を業務災害、通勤途中の怪我や病気のことを通勤災害といい

業務災害と通勤災害をあわせて労災と呼びます

労災を対象とした保険なので労災保険というわけですね

労災保険は一人でも従業員を雇っている会社に加入義務があり、従業員の雇用形態は問いません(ただし、同居の親族などの例外はあります)

正社員でもパートでも短時間労働者でも、一人でも雇用していれば労災保険に加入する必要があります

また、保険料は全て会社負担で、労災保険を使って怪我や病気の治療を受けた場合、従業員の療養費の負担はありません(通勤災害の場合は200円の負担があります)

労災保険が受けられる病院は通常労災指定病院のみです

もちろんそれ以外の病院でももちろん診察してくれますが、後々別途手続きが必要になります(療養補償給付たる療養の費用請求書(様式7号))

会社の近くの労災指定病院の場所は確認しておきましょう

一方健康保険は業務上の怪我や病気以外が対象の保険です

自営業者や無職者が入る国民健康保険と、サラリーマン等が入る健康保険に分かれていて、保険料は自己負担、もしくは会社と折半となります

また、治療を受けた場合の負担額は通常3割負担です

どういう時に労災が認められるの?

労災保険は業務上や通勤中の怪我や病気が対象と説明しましたが、業務上の怪我や病気とはどのようなことをさすのでしょうか

仕事中に負った怪我ならすべからく労災保険の対象なのでしょうか

通勤途中なら全て労災保険の対称なのでしょうか

結論からいうと、労災認定されるかどうかは最終的には労基署の判断にゆだねられるのですが

それでも、労災と認定されるためにはいくつかの要件のどちらかを満たしている必要があります

どういった場合に労災保険が使えるのか、業務災害と通勤災害に分けて解説していきたいと思います

業務災害

業務災害の場合の要件は業務遂行性と業務起因性です

業務遂行性に関しては大きく三つの場合に分けられます

  1. 事業主の支配・管理下で業務に従事している場合
  2. 事業主の支配・管理下にあるが業務に従事していない場合
  3. 事業主の支配にあるが、管理下を離れて業務に従事している場合

この三つです

ざっくり説明すると

  1. 仕事時間中で仕事をしている時
  2. 仕事場そのものに問題があるとき
  3. 仕事時間中で営業などに出かけているとき

ということになります

仕事時間中でも、例えばふざけて遊んでいたときの怪我や、仕事に行く振りをして喫茶店でサボっていたときに負った怪我などは労災認定される可能性は低いです

続いて業務起因性についてです

業務起因性とはその怪我や病気が仕事が原因で起きたかどうか、ということを意味します

例えば心臓発作で労働者が無くなり、それ以前に過重労働(一月100時間を超える残業や、3ヶ月平均で80時間を超える残業)があった場合などは、労災認定される可能性が非常に高いでしょう

パワハラによる欝なども労災認定される可能性の高い事例です

逆に、ペットロスが原因の欝など、私生活での出来事が原因の病気では労災認定はされません

通勤災害

通勤災害の場合は就業に関し以下の移動を行ったときに負った怪我や病気が対象となります

  1. 住居と就業の場所との間の往復
  2. 就業の場所から他の就業の場所への移動
  3. 住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動

そして、この移動は合理的な経路および方法で行われたこと、というふうになっています

合理的な経路および方法とは、常識で考えられる経路や方法ということです

例えば電車で30分かかる距離を自転車で1時間かけて通勤すると言う行為は合理的な方法と認められない可能性があります

また、帰りに同僚と飲みに行った場合は、通勤の経路から外れているとみなされるため、通勤災害と認められる可能性は低くなります

しかし、買い物をして帰ったり、ちょっとコンビニによって帰るなどの行為は、経路から逸脱していないと判断されることが多いです

しかし、買い物途中は経路から外れているので、買い物途中に負った怪我等は通勤災害の対象外です

労災保険と健康保険を間違えるとどうなる

労災保険と健康保険を間違えてしまうと、最悪、労災隠しとなり、罰則が課せられることがあります

とはいえ、現実的には中々労災なのか、健康保険なのか分からないケースもありますので、ここでは労災保険と健康保険を間違えた場合の対処法について解説します

まず、すぐに労災保険と健康保険の間違いに気づいた場合ですが、この場合はすぐに病院にで連絡してその旨を伝えるといいでしょう

切り替えが間に合えば、『療養補償たる療養の給付請求』という通称『様式5号』を提出ということになるはずです

逆に、時間が経ってから気づいた場合は、協会健保(組合健保の場合は組合健保)に連絡してその旨を伝える必要があります

すると、協会健保(組合健保)から費用を納付するための書類が届くはずですので、手続きをおこなってください

まとめ

実務上、労災と健康保険の取り扱いについて、迷う場面がかなりあると思います

そんなときにまず思い出してほしいのは業務遂行性と業務起因性です

この二つのどちらかが当てはまれば労災の可能性が高いということが、労災か否かの判断の基準になるはずです

それでは今回は以上となります

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです