おはようございます、社労士の有馬です
10人以上の会社(事業所)は就業規則の作成の義務がありますが、10人未満の会社(事業所)は法律上就業規則を作成する義務はありません
しかし10人未満の事業所に就業規則が必要ないかといわれると実はそうではなく、むしろ無いと困ることが多々あります
社労士的には一人でも従業員を雇用している会社は就業規則を備えておいたほうがいいとアドバイスするところですが
しかし就業規則は何故必要なのでしょうか
今回は就業規則の必要性について解説していきたいと思います
まずは基本事項の確認。就業規則とは
まずは基本事項の確認をしましょう。就業規則とはいったいどんなものでしょうか
就業規則とは会社の規則のことです
就業規則は法律に順ずる効力があり(正確には政令とか判例とかにも準じますがそのあたりは割愛します)10人以上の会社(事業所)は就業規則を作成しなければなりません
そして従業員は定められている規則に従う義務があります
就業規則がないと何が困るのか
そんな就業規則ですが無いと困ることがあります
いや、うちの会社は無くても上手くいってるしという方はいらっしゃるかと思いますが
就業規則は上手くいっているときは必要ないのですが、上手くいかなかったときに非常に困ることになるものなのです
その上手くいかなかったときとは具体的にどのような場合を指すかというと
例えば何度も繰り返し遅刻するAという社員がいたとします
会社はAさんに遅刻をしないように何度も注意するのですが改善されることがなく、結局Aさんを減給処分にすることにしましたが、Aさんはそれを不法行為だと主張してきました、みたいな時です
注意しても直らなかったので罰則を与えただけなのになんで不法行為だと言われなければならないのだと思われるかもしれませんが
実はこういった減給等の罰則を与えるためには根拠となる規定が必要なのです
モノを盗むと何故罰があるの? 答え → 法律で決まっているから
道徳の話ではなく法律の話です
さて問題です。モノを盗むと何故罰が与えられるのでしょうか?
それはもちろん、モノを盗んだ人に罰が与えられると法律で決まっているからです
トートロジーな言い方ですが、逆を返せば法律でモノを盗んだことに対する罰が法律で決まっていなければ、盗人はお咎めなしということになります
そしてモノを盗まれた人は当然泣き寝入りせざるを得ません
なぜなら日本では私的な報復は禁じられているからです(道徳の話でなく、法律の話です
法律で決まっていなければ罰を与えることはできないのです
遅刻常習犯のAさんを減給の制裁を行うためには就業規則に根拠がないとならない
それと同じことがAさんへの減給の制裁についても言えます
日本では私的な報復が禁じられている以上、罰則を与えるためには何か根拠となる規定が必要です
通常その根拠となる規定は法律であったり政令で合ったりするのですが、残念ながら遅刻をした場合に会社の給料を減らすという法律(それに順ずるもの)はありません
なので就業規則でそのあたりを決めておかないと減給の制裁を行うことはできないのです
就業規則は上手くいっているときは必要ないのですが、上手くいかなかったときに非常に困ることになるものといったのはこういうことですね
まとめ
働き方改革、外国人労働者の増加により就業規則はこれまで以上に重要なものになりつつあります
10人以上の会社はもちろんのこと、10人未満の会社でもできる限り就業規則を作成して備えておくことをおすすめします
労務管理の基本は何か起こる前に対応する、ですよ!
それでは今回は以上となります
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです