有給は従業員の権利。だから申請制にするのは間違い…というわけでは実はない

おはようございます、社労士の有馬です

働き方改革関連法案が実施されると有給休暇を10日以上もっている人に5日の付与が義務付けられます

会社の労務管理を担当している人はそろそろ有給取得に関するシステムについて色々調べている頃かもしれません

そんな調べモノをしているときにおそらく目に付くのが、有給は労働者の権利なのだから会社が制限するのはそもそもの間違い、というような意味の文言でしょう

そもそも申請すること自体が労働者の権利を侵害しているなどという過激な発言をしている人もいるようですが

たしかに有給は労働者の権利の側面が強く、会社が制限しにくいものではありますが、果たして本当にそうでしょうか

時季変更のみならず、申請すらも違法とされるのでしょうか

今回は判例も交えて有給申請や取得や申請についてお話していきたいと思います

基本は有給休暇は労働者の権利

まず基本ですが、有給休暇は労働者の権利なのだから会社側が制限するのはそもそもの間違い、というような文言は一概に間違っているというわけではありません

有給休暇は法律上当然に発生するものであり、たとえ就業規則で一月前に申請を義務付けていたとしても、それはあくまで労働者が法律上もっている権利を行使しているに過ぎないと考えられるからです

では、申請制にしているのは無駄なのでしょうか

労働者の申請どおり必ずしも有給休暇を取得させる必要があるのでしょうか

前々日までに申請と定めた就業規則が有効となった判例

まず申請制の方から解説していきたいと思います

有給休暇の申請で参考になる判例といえば『此花電報電話局事件 最高一小』がまず候補に挙がるでしょう

内容が気になる人はリンクを張っておきましたので確認してみてください

これによると、有給休暇を事前に申請させることが違法とされているわけではないといわれています

労働者側に時季指定権があるように、使用者側にも時季変更権があるからです

では具体的にどれくらいの期間前から申請させることができるのかということですが

具体的に期間は決まっておらず、状況と理由が大切であろうと思われます

労働者の権利を守るためには会社の継続性が不可欠であり、会社の継続性を保つためには業務が円滑に進む必要があります

そのための措置として一月前くらいまでに申請というのが最長なのではないかと思われます

会社の規模、事業の内容、人員、作業量、代替要員の確保のしやすさを勘案して

あくまでも労働者の権利であることを前提として、就業規則を作成する際に従業員の代表者と話合い決めるといいのではないでしょうか

時季変更権についての判例

時季変更権についての判例で有名なのは『時事通信社事件 最高三小』でしょう

例によってリンクを貼っていますので、興味のある方はそちらをご覧ください

内容は一ヶ月の有給休暇の時季指定に対し、後半部分について時季変更権を使用したのは適法とされたという内容ですが

この判例で重要な部分は従業員が指定した日に有給休暇を取れるよう使用者側は努力する義務があるという部分です(意訳なので、正確な内容が知りたい人はリンクから判例をお読みください)

逆を返せば労働者に有給休暇を取得できるよう努力した上で、どうしても代替要員が確保できなかったり、会社の継続性に関わるような事態が考えられる場合は、時季変更権を行使できると考えられるでしょう

余談ですが、全段落の、その為に事前に有給休暇の取得の申請をしてもらうというのは合理的な理由なので、有給休暇の申請を事前に行ってもらうというのは適法であると考えられるでしょう

ただし、その日は忙しいからという理由だけでは時季変更権は行使できないと考えられています

時季変更権を行使するためには合理的で具体的な理由が必要と考えられるでしょう

まとめ

有給休暇は取得率が低いとされていることから、最初のうちは混乱が予想されます

事前になるべく準備して、スムーズに従業員に有給休暇を取得してもらえるようにしておきたいですね

また、有給休暇の取得義務を果たす一つの方策として有給休暇の計画付与というものも考えられるでしょう

有給休暇の計画付与については過去に一度記事にしていますのでよければそちらもごらんください

それでは今回は以上となります

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです