みなし残業(固定残業代制度)は違法ではないがいまや採用するメリットはほとんど無い 解説編

おはようございます、社労士の有馬です

前回の続きです

前回はみなし残業(固定残業代制度)についてと、みなし残業(固定残業制度)が合法か違法かの解説をしました

今回はみなし残業(固定残業代制度)のメリット・デメリット、私のみなし残業(固定残業代制度)について思うことについて解説します

もくじ

 

前回の記事の復習

みなし残業(固定残業代制度)について

みなし残業時間 > 実際の残業時間 --> 固定残業代を支払う

みなし残業時間 < 実際の残業時間 --> 実際の残業時間に基づいて計算した残業代を支払う

 

みなし残業(固定残業制度)を採用していて違法になりやすい事例

固定残業代制度を採用していて違法になる代表的なケース

  • みなし残業時間よりも実際の残業時間のほうが長いのに固定残業代しか払っていないケース
  • 深夜手当てと休日手当て、残業時間の上限を超えた場合の割増賃金を計算せずに支払っていた場合
  • 賃金の時給を計算するときに固定残業代を含めて計算してしまって最低賃金を割ってしまっていたとき

 

詳しい内容は前回の記事をご覧ください

みなし残業(固定残業代制度)は違法ではないがいまや採用するメリットはほとんど無い 制度編

前回の記事へのリンク画像こちらの記事ではみなし残業(固定残業代制度)がどのようなものか、また合法か違法かを解説しています

みなし残業(固定残業代制度)がどのようなものか詳しく知りたい方はこちらをクリックしてください

 

みなし残業(固定残業代制度)を導入するとメリット・デメリット

みなし残業(固定残業制度)のメリット・デメリット

前回の記事でみなし残業(固定残業制度)がどのようなものかを解説しました

今回はこの制度を導入することでどのようなメリット・デメリットがあるのかをご紹介します

みなし残業(固定残業代制度)を導入するメリット

 

まずメリットに関してですが、一つ目は人件費がどれくらいかかるか事前に正確に把握できるという点です

会計年度のはじめに予算を立てると思いますが、その中の大きな経費である人件費が正確に分かるということは会社にとって大きなメリットとといえるでしょう

二つ目のメリットは給料計算の必要がほぼ無くなるということです

固定残業代以内の残業時間であれば残業時間を計算することはないので、必ず発生する業務の一つを削ることができます

業務を削るということは労働時間の短縮になるわけですから、経費の削減につながるといってもいいでしょう

三つ目のメリットは労働者のワーク・ライフ・バランスの正常化についてです

固定残業制度は残業をしていなくてもその分の残業代をもらえる制度なので、従業員としては早く仕事を終わらせて帰りたいと思うのが自然な流れのはずです

仕事の効率化が社員主体で行われ、モラールの高い社員を育てる仕組みの一つとして活躍してくれることが期待される制度でしょう

みなし残業(固定残業代制度)導入のメリット

  • 人件費を事前に正確に把握できる
  • 固定残業代部分の残業時間までなら残業代が固定なので計算する必要がない。業務の削減につながる
  • 仕事の効率化とモラールの高い社員を育てるしくみとして期待できる

 

みなし残業(固定残業代制度)のデメリット

 

次はみなし残業(固定残業代制度)のデメリットです

みなし残業(固定残業代制度)のデメリットはなんといっても残業代をプラスアルファして払う必要があるということです

このシステムを利用していく上ではどうしても発生する必要経費ですね

二つ目のデメリットは未払い賃金が発生しやすいということです

深夜労働や休日労働、時間外労働の上限を超えた場合の割増賃金は、通常の残業代よりも多くなります

そうなると単純に時間外労働時間数だけカウントしていると、計算と時間数が合わなくなってくるので、未払い賃金が発生しやすくなるのです

時給¥1,000の人が通常の10時間分の時間外労働を行った場合

1,000 × 1.25 × 10 = ¥12,500

時給¥1,000の人が深夜労働として時間外労働を10時間行った場合

1,000 × {1 +(0.25 + 0.25)} × 10 = ¥15,000

同じ時間外労働時間でも¥2,500の差が生まれてしまう

 

三つ目はみなし残業(固定残業代制度)のイメージの悪さです

検索したら分かりますが、違法だのブラックだの判例だの、マイナスイメージの言葉がたくさん出てきます

内容に関しては私は社労士ですので詳しくは書きません

ですが、かなり悪いイメージをもたれているということは理解しておくべきでしょう

デメリットに関してまとめるとこうなります

みなし残業(固定残業代制度)を導入するデメリット

  • 残業代(時間外労働手当て)をプラスアルファで払う必要がある
  • 未払い賃金が発生しやすい
  • みなし残業(固定残業代制度)への労働者のイメージは悪い

 

みなし残業(固定残業代制度)に対する私の考え

最後にみなし残業(固定残業代制度)についての私の意見です

結論から述べるとみなし残業(固定残業代制度)は現在の世の中には合わない制度です

この制度がいつできたのかはわかりませんが、おそらくかなり前にできたのではないかと思っています

ざっと国会会儀録検索で調べたところ、平成5年4月23日に衆議院で行われた労働委員会でみなし残業という言葉が出てきていました

内容はトラックの運転手の労働時間を把握するのは困難なのでみなし残業で支払っているというものです

つまりこのみなし残業(固定残業代制度)は元々労働時間を正確に把握できない場合に用いられたものだということでです

平成5年というと1993年です

当時は携帯電話なんてありませんでしたし、パソコンも一般にはまだまだ普及していませんでした

そんな中、きちんと時間外労働手当てがもらえるみなし残業(固定残業代制度)というのは労働者にとっても使用者にとってもありがたい制度だったっというわけです

しかし平成30年の現在では労働時間の把握は容易になっています

タイムカードや出退勤をデジタルで記録できるシステムは安価で手に入れることができ、そんなもの取り入れなくてメールや電話で管理できるようになっています

もはやみなし残業(固定残業代制度)が生まれた昔とはわけが違うということです

平成30年におけるみなし残業(固定残業代制度)の存在意義

 

固定残業代制度は昔ほどではないにせよ、一定のメリットがあるのは上の段落で説明しました

しかし、固定残業代を払っているのでこれ以上残業代を支払わなくてよい、といった勘違いや、みなし残業分くらい働けというような、制度そのものに対する不理解。さらに、求人票に未払い残業を含むと他の求人よりも高額な給料に見せかけることができるという手法が過去に流行したことから

この制度に対する労働者の印象ははっきり言ってあまり良くありません

それに、正確な労働時間の把握が容易となった今、固定残業代を払い続けることは計算業務の削減を考慮しても、コストパフォーマンスのあわない高額なものだといえるでしょう

これらのことからみなし残業(固定残業制度)に対する私の意見としては以下のとおりです

みなし残業(固定残業代制度)は現在の世の中には合わない制度です

結論。これからの労務管理は王道に回帰する

 

技術の発展により昔にできなかったことでも今になってできることが増えています

労働時間の正確な管理もその一つでしょう

働き方改革でも労働時間の正確な管理が改めて問われているということもあるので、この機会に一度会社の労働環境を見直してみてはいかがでしょうか

まとめ

 

みなし残業(固定残業代制度)の時代は終わり、この制度を採用するメリットは現在では薄くなっています

採用するにしても注意深く扱うべき制度となっています

もし、会社でこの制度を採用している場合は注意が必要です

きちんと運用されているか今一度確認をしてみるといいでしょう

今回は以上となります

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです